抄録
本稿では,離散時間線形周期時変系に対して,系の安定性およびH∞ノルム仕様を満たすメモリー型周期時変状態フィードバック制御器を設計することを考える.メモリー型周期時変状態フィードバック制御器は,現在時刻だけでなく過去の時刻における状態変数の値も用いて入力を決定するという特徴をもつ.本稿では,このような制御器が存在するための必要十分条件をLMIの形で表現し,このLMIをもとにポリトープ型の不確かさを有する系に対してメモリー型周期時変状態フィードバック制御器を設計する.最後に,提案する設計手法が有効であること,とくに周期を大きくすることで不確かさを有する系に対する設計における保守性を順次低減できることを,数値例を用いて示す.