抄録
口コミによって得た知識に基づいて意思決定を行う消費者が増加していることから,マーケターも口コミを利用した広告戦略を重要視している.しかしながら,広告投下後に消費者間の口コミによって知識がどのように伝播していき,消費者がどのような態度を形成していくかを把握することは困難である.特にオフラインでの口コミによる知識伝播を観測することは非常に困難である.そこで,本研究では消費者エージェント間の知識伝播を観測可能なモデルを構築し,消費者間ネットワークにおいて有効な広告投下方法について検討する.主な分析としてエージェントの内部モデル分析とシナリオ分析を行う.消費者全体の知識伝播の推移を各消費者エージェントの内部モデル分析から説明し,広告効果の違いによってなぜ知識伝播が遅れるのかを明らかにする.また,複数のネットワークの形状と知識分布と複数の広告投下戦略を組み合わせた多くのシナリオの分析を行い,特定状況下でより有効になりうる戦略を探る.