抄録
音響信号を再生する規格であるMIDIは,音源,キー,テンポなどが柔軟に変更できるという利点があるので,世界中で利用されている.MIDIの基本的なデータとして,音の高さ,ゆらぎ,強弱の3つがある.ただし,MIDIに対応した専用機器を用いる場合を除き,MIDIデータの入力作業は手動で行わなければならない.そこで本論文では,音響信号を直接MIDIデータに変換することを目的とし,適応逆ノッチフィルタを用いたMIDIデータ抽出法を提案する.適応逆ノッチフィルタとは入力信号の周波数に自動的に追従し,その周波数成分だけを通過させるフィルタである.すなわち,適応逆ノッチフィルタを用いれば,その出力から音の高さ,ゆらぎ,強弱の3つの情報を同時に得ることができる.提案法では,それぞれの音の高さに対応した適応逆ノッチフィルタを並列接続し,入力信号の基本周波数を適応的に抽出する.そして,抽出した基本周波数から,音の高さ,ゆらぎ,強弱の3つのMIDIデータを得る.本論文の最後では,単楽器の演奏に対してMIDIデータの抽出を行い,提案法の有効性を明らかにする.