抄録
本講演では未感染者,感染者の2個体群からなる個体群を対象に,アリー効果を考慮した感染症伝播過程の確率モデルを提案し,増殖率に含まれる不規則な揺らぎが感染症伝播挙動に及ぼす影響をシミュレーションにより考察する.シミュレーション解析によって,拡散効果,アリー効果,感染者死亡率の相互作用により,感染症伝播過程の時空間パターンがシェルピンスキーガスケット状のフラクタル構造を形成する場合があることを示す.また,不規則な揺らぎの有無によって,感染症伝播過程が大きく異なる場合があることも伝播の時空間挙動のフラクタル構造に基づいて示す.