Strength and Conditioning Journal Japan
Online ISSN : 2759-0674
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関心を引き、熱中させ、権限を与える:アスリートの自己充足性を促進するための枠組み
Sean J. Maloney
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2024 年 31 巻 3 号 p. 66-78

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抄録

コーチとアスリートの関係は、ストレングス&コンディショニング(S&C)プログラムの成功の基盤である。心理社会的な原則を深く理解して適用することで、S&Cコーチは自らがパフォーマンスに及ぼす影響を増大させることができる。しかしコーチは、パフォーマンス向上に留まらない視野をもつべきである。そこで本稿では、アスリートの自律性と自己充足性の発達に重点を置いた、新しい哲学的なコーチングの枠組みを提案する。自律性と自己充足性を備えたアスリートは、レジリエンス(回復力)に優れ、よりレベルの高いパフォーマンスを発揮し、競技を終えた後の人生に向けて準備を整えられる可能性が高い。この新たな枠組みの基本的な構成要素として、「3つのE」を提案する。(a)Engage(関心を引く):アスリートに積極的な関与を促し、適切な挑戦を提供し、彼らの価値観を理解する。(b)Enthuse(熱中させる):アスリートのポジティブな感情を促進し、成功体験を積ませ、ポジティブな社会的相互作用を支援する。(c)Empower(権限を与える):アスリートの自律性を促進し、プログラムの自己管理を期分けし、推奨事項や処方の根拠を提供する。この枠組みの目的は、アスリートの内発的な意欲を最大限に高め、アスリートがS&Cの基本原則を理解するのを助け、前向きな行動を選択するよう促すことである。

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