Strength and Conditioning Journal Japan
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鉄の補給がエリートレベルの女性アスリートにおける身体パフォーマンスに及ぼす影響:システマティックレビュー
Halee CusackDr. Suan Hewling
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2024 年 31 巻 4 号 p. 69-79

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抄録

貧血症状のない女性アスリートにおける鉄欠乏(ID)が増加していることから、それらの女性アスリートにおける鉄の補給と鉄の欠乏との関係を調査する必要性が生じている。本システマティックレビューの目的は、非貧血性鉄欠乏症(IDNA)の女性アスリートに対する鉄補給の影響を明らかにすることである。2022年2月に、PubMedおよびCINAHLのデータベースを用いて文献検索を実施した。その結果、本レビューには、IDNAの女性アスリートのみに焦点を絞った9件の研究が含まれ、その被験者数は合計355名であった。被験者の選択基準は、IDNAと判明している成人女性アスリートとした。鉄の補給と形態、量、期間、および用いたパフォーマンスの測定方法は問わなかった。除外基準は、青少年、負傷者、他のサプリメントや医薬品の摂取者、パフォーマンスの測定なし、などであった。レビューの結果、5件の研究が、鉄の補給により状態が改善され、生理学的適応が促進されると結論づけた。しかし、その他の研究では、鉄の補給はトレーニングに影響を及ぼさなかった。本レビューの対象となった研究の限界としては、サンプルサイズが小さいこと、トレーニング期間が短いこと、トレーニング処方やエクササイズプロトコル、測定のタイミングなどが広範囲に及ぶことなどである。IDNAの女性アスリートにとって、鉄補給を検討すべきレベルをさらに見極めることが必要である。

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