Strength and Conditioning Journal Japan
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テニスのサーブ速度の向上:トレーニング方法のレビューと指針
Joshua ColomarFrancisco CorbiErnest Baiget
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2024 年 31 巻 4 号 p. 80-89

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抄録

テニス選手としての成功に不可欠な構成要素のひとつは、サーブの速度(SV)である。コーチや指導者は、このきわめて重要な側面を向上させることによって、パフォーマンスと結果の最大化を目指す。短縮性局面または伸張性局面を強調する伝統的なレジスタンストレーニングプログラムの利用は、熟練者のSVを中程度向上させると考えられている。しかしこのようなトレーニングは、アシンメトリー(非対称性)の改善や神経系の適応増大など、SV以外の構成要素も間接的に向上させるため、若年選手にとって有益であると考えられる。また、メディスンボールスローや、サーブのキネティックチェーンを模倣する爆発的あるいはパワーベースのプログラムなども、若年選手に大きな利益をもたらすであろう。これらのエクササイズは、含まれる要素と関与する身体部位が、サーブ動作に特異的であると考えられるからである。フライホイールベースのトレーニングや重量器具、四肢への重量負荷など、新しい方法も有益かもしれない。ただし、研究を進めて、これらのプログラムと特異的な負荷方策の有効性を確認する必要がある。しかしデータは、最大努力速度で実施する重い/軽い負荷によるエクササイズが、SV向上の妥当な選択肢であることを示唆している。本稿は、SV向上のためのトレーニング方法に関する先行研究の概要を示し、エクササイズの処方例を提案して、この重要な変数の向上に努めるストレングス&コンディショニングコーチを助けることを目指す。

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