2024 年 31 巻 9 号 p. 12-31
パフォーマンスを向上させる競技会前の方策として「プライミングエクササイズ」が注目を集めている。プライミングエクササイズは、刺激後48時間以内に多様な神経筋系のパフォーマンス尺度を向上させることが示されている。しかし、プライミング介入後のパフォーマンスに変化がないことや、有意に低下することを見出した研究も数多く存在する。このような研究結果の齟齬は、諸研究で利用された数多くの変数の違いによる可能性がある。また、プライミング刺激後のパフォーマンス反応は、個人特性の影響を受けることを示すエビデンスもある。そこで本稿では、先行研究のエビデンスを検証して、レジスタンスエクササイズやストレッチ-ショートニングサイクルエクササイズを含むプライミング刺激が、刺激後48時間以内のパフォーマンスを向上させるかどうかを特に強く決定する因子の特定を試みる。これまでのエビデンスに基づいてトレーニングの指針を提供するだけでなく、今後の研究の方向性も示す。