本稿は、大学アスレティックデパートメントにスポーツ科学部門を設立し、学生アスリートの健康およびパフォーマンスサポートの包括的統合を促進することに関して、その概要を示すものである。大学アスレティックデパートメントは、学生アスリートの健康とパフォーマンスにおける複雑なニーズを管理する方法として、ハイパフォーマンスモデルを採用している。多くの人がベストプラクティスと考えるハイパフォーマンスモデルは、大学アスレティックデパートメントへの適用に限界があるのに対し、次世代のベストプラクティスとなるのが包括的統合である。包括的統合は、すべての利用可能なリソースを組み合わせることで、これまでにないレベルの健康およびパフォーマンスサポートを確立する。それを可能にする要素のひとつが、学術界、医療界、および産業界のステークホルダーとの協働である。アスレティックデパートメントが、絶えず進化する健康とパフォーマンスの課題に対応するには、幅広いサービス、知識、および専門性が求められるが、彼らとの協働によって、その根強いギャップを埋めることが可能となる。適切に設計されたスポーツ科学部門は、互恵的なパートナーシップの確立を通じて、様々なサービス、研究、教育、およびイノベーションの取り組みを実現することで、このプロセスを促進することができる。本稿では、包括的統合の確立にスポーツ科学者が果たす役割について詳述する。それによって、スポーツ科学プログラムの開始を検討するアスレティックデパートメントや、現行のスポーツ科学の体制を拡大したいアスレティックデパートメントに指針を与える。
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