2025 年 32 巻 2 号 p. 22-27
本研究の主な目的は、運動能力(跳躍力)に対する骨格筋量と神経系機能の貢献度について成熟度別に検討することであった。対象は、成長期アスリート105名とし、PHVA(peak height velocity age)より前の者をGroup1、PHVAから2年未満の者をGroup2、PHVAから2年以降の者をGroup3として3群に割り当てた。垂直跳び跳躍高、外側広筋の筋厚、跳躍中における運動単位の活動特性を測定した。跳躍高を従属変数、筋厚と運動単位の活動特性を独立変数とした重回帰分析を行なった。その結果、Group1とGroup2で運動単位の活動特性、Group3で筋厚を独立変数とする回帰式が得られた。本研究の結果より、跳躍力に影響を及ぼす主な因子は、PHVA前とPHVAから2年未満では神経系機能、PHVAから2年以降では骨格筋量であることが示唆された。ただし、Group3における回帰式は有意ではなかったため、後者の結果は一般化することができない。今後はさらに対象者数を増大して検討する必要がある。