2025 年 32 巻 2 号 p. 38-48
アジリティは身体的能力のひとつとみなされている。ストレングス&コンディショニング(S&C)専門職は、クローズドな環境アプローチを利用してアジリティを育成してきた。このアプローチは知覚と行為の分離を伴い、行為は知覚から切り離されてトレーニングされる。しかし先行研究によると、知覚と行為を分けてトレーニングすると行動が変化する。つまり、アジリティは複雑で多因子的な性質を有する。したがって専門職は、生態動力学、とりわけ代表的な学習デザインの原則を利用して、競技要求と密接に整合するトレーニング課題を設計するべきである。代表的な学習デザインは知覚と行為が結合した状態を保つことで、トレーニングから競技への大きな転移を促す。アジリティの課題設計のもうひとつの重要な原則は共適応(coadaptation)である。これは相手側の選手を操作することによって可能になる。本稿はこの2つの重要原則に基づいて、サッカー、ラグビーユニオン、オーストラリアンフットボールの3つの侵入型チームスポーツにおけるアジリティ課題の例を提供する。