2025 年 32 巻 5 号 p. 64-73
総合格闘技(MMA)は、様々な形式の組み技と打撃技を含む、多面的な格闘競技である。そのため、ストレングス&コンディショニング(S&C)専門職は、相反する代謝要求、高い変動性、試合スケジュールの不定に頭を悩ませることになる。先行研究によって、MMA選手には神経筋系特性の発達と優れた有酸素性および無酸素性能力が必要であることが明らかにされている。また、ハイレベルなMMA選手の生理学的プロフィールも特定されている。しかし、パフォーマンスの向上に最も適したピリオダイゼーション方策を論じた査読済み論文は少ない。速度を基準としたトレーニング(VBT)について調査した研究も存在しないとみられる。VBTは動作速度を利用してトレーニング負荷を割り当てることで疲労を軽減し、筋力とパワーの適応を推進する。VBTに関する先行研究では、VBTは負荷の割り当ての点で、従来の相対強度を基準としたトレーニングよりも優れていることが指摘されている。本稿ではまずMMA選手の生理学的プロフィールを明らかにする。続いてVBTの概要を説明し、VBTを利用してMMA選手のパフォーマンスの至適化を目指す、S&Cのプログラムデザインにおけるガイドラインを提示する。