最大力発揮能力の前に行なわれるサイキングアップについて包括的に検討することは、その効果を検証し、実践者に有益な戦略を特定し、今後の研究の方向性を示すために不可欠である。本システマティックレビューの目的は、最大力発揮能力に対するサイキングアップの効果を検証することにある。レビュー方法はPRISMAの指針に従い、文献検索にはSPORTDiscus、PsychINFO、PsychARTICLES、MEDLINE、Google Scholar、Web of Scienceを利用した。レビューに含める基準は、実験デザインを利用していること、成人を被験者とすること、定義に合ったサイキングアップを独立変数として含むこと、最大力発揮能力を測定していることである。この包含基準を満たす文献は27本であった。文献を総合すると、試行の65%でサイキングアップが最大力発揮能力を促進することが見出された。自由選択によるサイキングアップ、動機付けセルフトーク、PETTLEPイメージ法、処方による準備的覚醒は、一貫してパフォーマンスを向上させていた。また、研究結果のばらつきは、被験者の競技経験と対照条件のタイプに起因する可能性も示された。本レビューの結果、自由選択によるサイキングアップ、動機付けセルフトーク、PETTLEP法、処方による準備的覚醒は、最大力発揮能力を高める可能性があることが見出された。今後の研究では、経験豊富なアスリートを参加させ、現場の指導職が利用する戦略を特定してその効果をテストする必要がある。