2021 年 49 巻 6 号 p. 480-483
頚動脈内膜剝離術(carotid endarterectomy:CEA)における血管切開部の閉創は最も重要なステップの1つである.われわれは血管縫合の方法をなるべく単純化する工夫をしており,文献的考察を加えて報告する.動脈切開し,プラークを剝離後に,まず中央を縫合しstay sutureとする.内頚動脈側から中央に向かって連続縫合し,中央の結紮糸と縫合する.連続縫合は1針ごとに緊張を加えて血液の漏れをを避ける.総頚動脈側から中央に向かって連続縫合し,中央付近の3針は針を通した後に緊張は加えずに緩めておき,動脈切開をわずかに開けたままとしておく.同部から血管内腔を洗浄し,各血管より逆血後に糸を締め上げ,動脈切開を閉じて中央の結紮糸に結紮して縫合を完成する.逆血後の処置は結紮のみであり,速やかに遮断を解除でき,手技としても単純なのが利点である.連続縫合で縫合部に針を通しておいて後に引き締める方法は,心臓血管外科領域ではパラシュート法として一般的である.本法を頚動脈手術に応用し,有効であった.