脳卒中の外科
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原  著
破裂脳動静脈奇形に対する定位放射線治療の長期成績
河島 真理子長谷川 洋敬辛 正廣新谷 祐貴髙橋 渉石川 治中冨 浩文斉藤 延人
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2022 年 50 巻 1 号 p. 20-24

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抄録

出血歴のある脳動静脈奇形(ruptured arteriovenous malformation:rAVM)では,再出血を予防することが必要である.定位放射線治療(SRS)のrAVMにおける役割につき,当院の長期成績を踏まえ検討した.1990-2016年に施行したrAVM 517例に対する初回SRSのうち,多段階照射例,観察期間2年未満を除外した394例を対象とした.SRSに先行する摘出術,塞栓術の有無を軸に,長期成績を解析した.その結果,平均観察期間は138カ月,SRS単独74%,摘出術(+塞栓術)先行15%,塞栓術先行が11%であった.5年累積閉塞率は,SRS単独群では79%,摘出術群では97%,塞栓術群では73%と,摘出術群ではSRS単独群と比べ良好であり(p<0.001),塞栓術群ではSRS単独群に比し有意差を認めなかった(p=0.570).閉塞待機期間の年間再出血率は2.0%であった.significant neurological event(SNE)-free rateは10年95%であった.再出血率とSNE-free rateに関しては,併用治療間で有意差を認めなかった.SRSは破裂AVMに対する単一治療として安全かつ効果的であるばかりでなく,摘出術後残存AVMの補助治療としても有用である.

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© 2022 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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