脳卒中の外科
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原  著
Distal sylvian approachによる中大脳動脈瘤クリッピング術におけるM1形態に基づくM1確保手技の検討
石川 耕平佐々木 雄彦山﨑 貴明森脇 寛中西 尚史香城 孝麿妹尾 誠嶋﨑 光哲西谷 幹雄
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2022 年 50 巻 1 号 p. 25-30

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抄録

中大脳動脈瘤クリッピング術によるdistal sylvian approachにおけるM1の確保方法の違いとその安全性および妥当性をM1の解剖学的形態と実際の手術手技の関係から検討した.

約9年間に経験した手術症例を対象とし,M1形態を術前DSAもしくはCTAから解析し,M1確保手技のM1形態による違いを手術VTRから検討した.M1水平部,末梢性,大型ないし巨大(最大径12mm以上),血栓化,多発動脈瘤を除外した結果,対象は119例となった.M1形態は上凸の弓状または直線状で,内頚動脈分岐部と動脈瘤頚部の角度が水平に対して下に10°以上のものを上凸,直線状で角度が水平に対して上下10°未満のものを水平,下凸の弓状または直線状で角度が水平に対して上に10°以上のものを下凸と分類した.

上凸は84例(71%),水平は26例(22%),下凸は9例(8%)であった.上凸の多くの症例では背側からのM1確保が安全に確実に行われており,short M1の動脈瘤でも同様であった.水平および下凸ではM1を腹側から確保する症例も多かったが,動脈瘤を越えてM1を確保することに問題はなかった.

多くの症例でM1を背側から確保することが妥当で安全である.また,一部の水平や下凸M1の症例でも同様の頭位と体位でM1を腹側から安全に確保することができる.

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© 2022 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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