脳卒中の外科
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原  著
破裂内頚動脈blood blister-like aneurysmに対するステント併用コイル塞栓術の長期成績
森嶋 啓之加藤 晶人中山 博文長島 梧郎松澤 源志干川 芳弘田中 雄一郎
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2022 年 50 巻 1 号 p. 31-38

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抄録

内頚動脈のblood blister-like aneurysm(BBA)は,小さく脆弱で破裂しやすい治療困難な転帰不良の動脈瘤である.母動脈の順行性血流を保つステント併用コイル塞栓術を施行したSAH 4例の長期成績を報告する.

2013年9月から2017年2月までのSAH発症の内頚動脈BBAに対し,ステント併用コイル塞栓術を施行した連続4例4病変を対象とした.内訳は男性1例,女性3例,平均年齢46歳(41-50歳)である.治療結果と長期的な画像所見および長期転帰について検討した.

全4例に初回治療でステント併用コイル塞栓術を施行.2例にステント単数併用のコイル塞栓術,他の2例に複数のステントをオーバーラップさせコイル塞栓術を施行.単数ステント併用の1例に再出血および瘤の再増大が生じ,2回の追加塞栓術を施行.他の1例および複数のステント併用例は,画像上完全閉塞であった.治療に関わる合併症は全例になかった.平均3.5年(2-5年)の観察期間で全例がmRS 0と転帰良好で,画像上,瘤の完全閉塞は維持され罹患した内頚動脈の壁不整は平滑となった.

BBAは瘤壁および母動脈が脆弱と考えられ,ステントは複数をオーバーラップさせたコイル塞栓術が瘤の再発予防と長期的な母動脈の順行性血流の温存に有用である.

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© 2022 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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