2022 年 50 巻 1 号 p. 8-13
脳静脈や静脈洞はかなりのバリエーションがあり,ときに developmental venous anomaly と称される異形を呈する場合がある.多くの異型脳静脈自体は病的なものではないが,ときに頭蓋内疾患の近傍に存在することがある.そのような場合では,異形静脈は手術アプローチや対象病変の治療の邪魔になる場合がある.そのような異形静脈の術前情報なしに手術を行った場合には,硬膜切開時に大出血をきたしたり,静脈性浮腫のため予期せぬ術後の障害をきたす可能性がある.それゆえ,脳血管内外科医を含む脳神経外科医は,そのような静脈性合併症を避けるために治療方法(血管内治療か開頭術か)や手術アプローチに関与するような異形静脈の存在を知っておく必要がある.今回われわれは,術前に施行された3次元CT静脈画像(3DCTV)画像にて発見された8つの脳静脈あるいは静脈洞の異形を報告し,予期せぬ静脈性合併症をきたさぬよう注意を喚起する.