2022 年 50 巻 2 号 p. 96-100
頚動脈内膜剝離術(CEA)において,われわれが考案したcarotid triangleに存在する脂肪組織を利用したcarotid systemの露出方法について報告する.
carotid triangleには層状の脂肪組織が一塊として存在する.この脂肪塊に対する解剖学的名称は存在しないため,われわれはcarotid fat pad(CFP)と呼んでいる.CFPは周囲組織との間に明瞭な境界を有しており,その底面は頚動脈鞘上面と一体化している.血管に乏しい境界部でCFPを周囲から切離し,一塊として後方に翻転しながら,その底面に存在する頚動脈鞘を切開することにより,広く出血のない術野で内頚動脈を遠位部まで容易に露出することが可能となる.この新たな頚動脈露出方法をわれわれはCarotid Fat Pad Flip Methodと命名した.