脳卒中の外科
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原  著
頭蓋内経皮的血管形成術後の解離性病変に対する経時的予後の検討
疋田 ちよ恵根本 哲宏前田 昌宏井中 康史岩﨑 充宏山崎 英一福田 慎也佐藤 浩明森本 将史
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2022 年 50 巻 5 号 p. 351-356

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抄録

経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty:PTA)は頭蓋内狭窄病変に対して施行される外科的治療の選択肢の1つであるが,その際に,血管解離のリスクを完全には回避できない.今回われわれは,当院で施行したPTAにおいて生じた解離性病変の経時的予後について,後方視的に検討した.2012年4月より2019年3月のうちに当院で施行したPTA 82手技のうち,画像上,解離性病変が示唆された病変は11病変(13.4%)あり,3病変(3.7%)が症候性であり8病変が無症候性であった.症候性解離性病変 3病変のうち1病変は解離に伴い治療血管の閉塞をきたし,その他2病変は治療血管の主要血流は改善したものの,血管解離に伴い穿通枝梗塞をきたした.閉塞した1例を除く術後,解離性病変が生じた10病変のうち,血管解離急性期にステント留置を行った病変は2病変あり,2病変とも半年以上のフォローで再狭窄なく経過した.残りの8病変は末梢血流が改善したため経過観察としたが,1病変のみ再狭窄をきたし,その他の7病変は半年以上の経過で適切なflowを保ったまま経過した.PTAの合併症による解離性病変は,血流が良好であれば保存的加療が適切と考えられる.

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© 2022 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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