脳卒中の外科
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症  例
High-flow bypassを併用した近位内頚動脈遮断で治療した内頚動脈血豆状動脈瘤の1例
須田 泉中村 道夫宮崎 格布瀬 善彦吉田 陽一
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2022 年 50 巻 5 号 p. 386-391

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抄録

内頚動脈(internal carotid artery:ICA)C1部に発生した血豆状動脈瘤(blood blister-like aneurysm:BBA)に対して,前脈絡叢動脈(anterior choroidal artery:AChA)を温存するため,頚部ICA遮断にhigh-flow bypass(HFB)を併用した治療が奏効した症例を経験した.

症例は,40歳,男性.くも膜下出血を発症し入院した.脳血管撮影で右ICAのAChA起始部前内側にBBAを認めた.初回手術ではclipping術を行ったが,術後8日に動脈瘤の増大を認め,再手術を行った.右橈骨動脈をgraftとしてHFBを置き,頚部ICAで近位遮断を行った.術後経過は良好で,AChAの温存と動脈瘤の消失を認め,虚血性合併症なく退院した.ICA-BBAに対してbypass併用下で行う病変部のtrappingは有効な手技だが,BBAの存在部位によってはAChAやPCoAの温存が不可能な症例もある.根治性について検討を要するが,trappingによりAChAの閉塞が避けられない場合に,bypassを併用した近位ICA遮断は有効な治療選択肢と思われる.

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© 2022 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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