2022 年 50 巻 6 号 p. 454-460
頚動脈内膜剝離術(CEA)では,クロスクランピングによる脳虚血のリスクがあり,その回避にシャントの使用がある.われわれの施設では,シャントの使用を前提とした統一手技でCEAを施行している.今回,その手術手技のポイントと治療成績を述べる.
2013年4月から2020年3月の間に当院でCEAを施行した連続186例を対象とし,全例にシャントの使用を試みた.クロスクランピングによる脳虚血を,術中SEPの50%以上の低下と術後の症候性脳梗塞の発症で評価した.
シャントの使用困難例は4例(2.2%),シャントシステム装着による平均遮断時間は4.4分,抜去-再灌流時間は7.3分であった.術中のSEP低下を15例(8.1%)に認めたが,術後脳梗塞を生じたのは1例(0.5%)であった.シャントの挿入による明らかな合併症は確認されなかった.
シャントの使用によるCEAは,手術手技のポイントを習得すれば,安全で確実な方法である.