脳卒中の外科
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特集 頚動脈狭窄症の治療―原 著
ソフトプラークに対するCASの工夫
米澤 あづさ水橋 里弥根木 宏明大塚 俊宏笠倉 至言塚越 瑛介山根 文孝神山 信也
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2022 年 50 巻 6 号 p. 461-466

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抄録

目的:ソフトプラークに対してcarotid artery stenting(CAS)を行う場合,プラーク飛散による脳梗塞を予防するためさまざまな手技が工夫されている.われわれは通常より大きめのballoonを前拡張に用いてあらかじめプラークを十分に破砕して吸引することによって,周術期のプラーク飛散防止できると考えた.今回,本法を用いてCASを行った連続12症例を後方視的に評価した.代表症例を提示して,本法の詳細と有用性を検討する.

方法:対象はMRI T1 black blood(BB)法および頚動脈エコーにてソフトプラークと判断された連続12症例である.balloon protection での確実な血流遮断下,プラークを強く圧排・破砕する目的で,遠位血管径と同等かやや大きい径のballoonを用いて前拡張を行った.stentは原則としてclosed-cell stentを使用し,60ml以上の十分な血液吸引による浮遊プラーク排除後に血流を再開させた.

結果:CAS手技に直接関連する合併症は認めなかった.opencell stentを使用した1例にプラーク突出を認めたが,stentの追加により消失した.12例中1例に低血圧管理によると思われる脳幹梗塞を認めたが,他の11例は周術期に新たな神経学的異常を認めなかった.

結論:ソフトプラークであっても,本法によって安全にCASが行える可能性が示された.

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© 2022 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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