脳卒中の外科
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症  例
前脊髄動脈を巻き込んだ破裂解離性椎骨動脈瘤の1例
小野田 祐司西野 鏡雄中島 伸彦梅原 徹福屋 章悟矢野 喜寛小山 隆谷脇 浩一藤田 敏晃種子田 護
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2022 年 50 巻 6 号 p. 497-502

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抄録

53 歳,男性.生来健康で突然の左後頭部痛を自覚し,翌日になり四肢のしびれが出現したため救急搬送された.来院時,意識清明,症状は消失しており神経学的異常所見を認めなかった.頭部CTで左迂回槽を中心に脳底槽まで広がるくも膜下出血を認めた.脳血管造影で両側椎骨動脈に解離性と思われる紡錘状動脈瘤を認めた.左側ではblebを伴ったこと,母血管の辺縁が不整で新規の椎骨動脈解離が疑われたことから,くも膜下出血の出血源は,左椎骨動脈瘤であると考えた.椎骨動脈は右優位で,ASAは左椎骨動脈瘤の中央からのみ分岐が確認された.左動脈瘤の増大傾向を認め血管内治療を施行した.病変側VA造影で真腔が順行性に造影されたのち,瘤の遠位側から逆流性に偽腔が造影された.エントリーが瘤遠位側に存在し,対側VAからの偽腔の確保が可能と判断し,右椎骨動脈より左右椎骨動脈合流部を経由し動脈瘤解離腔にマイクロカテーテルを誘導したうえで,左椎骨動脈から真腔にステントを留置し,解離腔の塞栓を施行し,術後の脳血管造影でASAの開存を確認した.MRIでASA灌流域の梗塞は認めなかった.経過は良好で,左体幹失調のみ後遺し,modified Rankin Scale 2で外来通院中である.

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© 2022 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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