脳卒中の外科
Online ISSN : 1880-4683
Print ISSN : 0914-5508
ISSN-L : 0914-5508
症  例
進行性の中大脳動脈狭窄に対して経皮的血管形成術とSTA-MCA bypassを連続して行い良好な転帰を辿った1例
坂口 雄亮越智 崇吉田 拓也後藤 芳明前田 佳一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 50 巻 6 号 p. 503-507

詳細
抄録

中大脳動脈(MCA)狭窄による進行性脳梗塞に対して,経皮的血管形成術(balloon PTA)後,早期に浅側頭動脈(STA)-MCA bypass術を施行し良好な転帰を辿った1例を報告する.

82歳,男性.突然の左片麻痺で当院搬送となった.MRI/Aで右MCAに高度狭窄が認められ,同領域に多発性脳梗塞が確認された.初期治療として積極的内科的治療を行ったが,5日目に左半側空間無視を呈し,MRIで脳梗塞増大が確認された.以降の梗塞増大を避けるため緊急でballoon PTAを行った.十分なMCAの拡張が得られたものの,病変長が10mmを超えていたことから長期的には再狭窄が懸念された.そこで,11日目にSTA-MCA bypass術を追加した.外科的治療介入後の梗塞増大はなく,患者は4カ月間のリハビリテーションを経て退院した.90日目のCT検査ではMCAの再狭窄が認められた.このことから,balloon PTA後早期にSTA-MCA bypass術を行うことで,再狭窄による脳梗塞再発を予防できた可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top