脳卒中の外科
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症  例
塞栓源検索においてCT angiographyが有用であったcarotid webの1例
坂本 周平鈴木 啓太山田 清文大川 将和吉田 和道宮本 享
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2023 年 51 巻 2 号 p. 124-128

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抄録

carotid web(CW)とは内頚動脈起始部における内膜の棚状突出であり,近年,若年脳梗塞の塞栓源の1つとして注目を集めている.ここに,computed tomography angiography(CTA)によって初めて症候性CWであると診断し,carotid endarterectomy(CEA)を行い良好な経過を得た1例を報告する.

症例は,40歳男性.一過性の左上肢の脱力・感覚障害を訴え,救急搬送された.MRIにて右前頭葉弁蓋部皮質に急性期脳梗塞を認めた.抗血栓療法を行いながらembolic stroke of undetermined source(ESUS)として塞栓源の検索を開始したが,十二誘導心電図などの検査で異常を認めなかった.頚動脈超音波では,頚動脈分岐部近傍の小さなプラーク形成を指摘されたのみであったが,後日行った頚部CTAにて右内頚動脈起始部にCWが確認された.CEAを行い,現在までの術後14カ月間に再発を認めていない.CW診断において,超音波検査のみでは,偽陰性が少なからず存在する可能性があり,特に若年ESUSの塞栓源検索における,頚部CTAの重要性が示唆された.

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© 2023 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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