2023 年 51 巻 5 号 p. 438-441
症例は57歳,女性.大型の内頚動脈傍床突起部脳動脈瘤が偶然に発見され,ステントアシスト法を用いたコイル塞栓術で治療を受けたが,すぐに再発した.脳血管撮影では瘤内に造影剤の流入を認めたが,頚部にはクリッピング術に必要なスペースはなかった.しかしながら血管内治療による再治療は希望されなかった.頭蓋内外のhigh-flow bypassを施行して頚部内頚動脈を結紮した.術後問題なく,bypass治療から12カ月経過したが再発を認めていない.血管内治療後に再発し,クリッピング術が不可能な傍床突起部脳動脈瘤症例に対して,high-flow bypassを併用した母血管閉塞術は治療の選択肢となり得る.