2024 年 52 巻 1 号 p. 23-29
症例は81歳,男性.右頚部内頚動脈狭窄の診断で内科的治療を行われていたが,左limb shakingが出現,progressive strokeと診断され当科紹介となった.magnetic resonance angiography(MRA)で右頚部内頚動脈狭窄の進行を認め,diffusion weighted imaging(DWI)で急性期梗塞を認めなかったものの,arterial spin labeling(ASL)では右大脳半球で著明な血流の遅延を認めた.脳血管撮影検査では右頚部内頚動脈は起始部が重複し,合流し1本となる所見で,MRI所見ともあわせdouble-lumen carotid plaqueと思われた.合流直後で最狭窄部(NASCET 80%)を形成,最狭窄部以遠の描出遅延を呈し,Willis輪を介した側副血行は認めなかった.過灌流症候群が懸念されたためstaged angioplasty(SAP)の方針とし,経皮経管的拡張術をまず施行した.拡張術翌日のASLで右大脳半球の血流は改善した.症候性かつ不整形の病変であり,2週後に頚動脈内膜剝離術(CEA)を行った.虚血性合併症,過灌流症候群ともにきたさず,limb shakingは消失し,症状なく自宅退院となった.
double-lumen carotid plaqueはまれな病態であり,血行再建の適応と最適な手段は明らかではないが,症候性病変は血行再建の適応と考えられる.過灌流症候群予防のため,SAPの有効性が報告されているが,二期目の治療はステント留置術(CAS)が一般的である.しかしながら,症候性,本症例のような不整型,不安定プラークについては二期目の治療はCEAが好ましい可能性がある.