脳卒中の外科
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原  著
中大脳動脈M1閉塞と比較したM2閉塞における機械的血栓回収療法の治療成績
桒原 聖典中原 一郎松本 省二須山 嘉雄盛岡 潤長谷部 朗子田邉 淳渡邉 定克陶山 謙一郎廣瀬 雄一
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2024 年 52 巻 3 号 p. 210-217

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抄録

中大脳動脈M2部閉塞に対する機械的血栓回収療法は,M1部閉塞に対する場合と異なりエビデンスがいまだ確立されていない.本研究の目的は,自験例でのM2部閉塞の治療成績を,M1部閉塞のそれと比較検証することである.

2014年7月から2021年4月の期間に中大脳動脈M1部とM2部閉塞に対して再開通療法を行った症例を後ろ向きに調査した.それらについて,M1閉塞群とM2閉塞群に分け,患者背景因子,術前重症度(NIHSS),tPAの使用の有無,治療時間経過,TICI 2b以上の有効再開通率,無症候性を含む術後頭蓋内出血の頻度,3カ月後のmodified Rankin Scale(mRS)を比較した.また,3カ月後のmRS 3-6,すなわち予後不良に寄与する因子をロジスティック回帰分析の手法で検討した.

期間中128例(平均年齢75.9歳,男性52.3%)の中大脳動脈閉塞に対して血栓回収を施行していた症例を対象にした.M1部閉塞86例(67.1%)をM1閉塞群,M2部閉塞42例(32.9%)をM2閉塞群とした.両群の比較では,M2閉塞群で年齢が高い(74.5歳 vs 78.7歳,p=0.03)以外に差異はなく,発症–再開通時間(259.5分 vs 235.5分,p=0.25),有効再開通(TICI 2b≦;89.5% vs 83.3%,p=0.4),hemorrhagic transformation(34.9% vs 28.6%,p=0.24)も同等であった.多変量解析では,年齢(OR 1.08,95% CI 1.03-1.13,p<0.01),術前mRS(OR 3.53,95% CI 1.84-6.78,p<0.01),hemorrhagic transformation(OR 7.62,95% CI 2.51–23.20,p<0.01)が3カ月後の転帰不良(mRS 3-6)に関連し,閉塞部位は関連がなかった.

M2部閉塞における血栓回収は,M1部閉塞と同等の再開通率,出血性合併症であり,閉塞部位の違いは,予後不良とは関連を認めなかった.この結果を踏まえて,M2部閉塞に対する機械的血栓回収療法は,有用な治療法と考える.

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