2024 年 52 巻 4 号 p. 296-300
症例は58歳女性で,右未破裂中大脳動脈瘤に対して開頭クリッピング術が施行された.運動誘発電位(MEP),蛍光血管撮影(ICG),Doppler血流測定がモニタリングされた.初回クリッピング後,MEPは消失したが,ICGやDoppler所見は正常と思われたため,そのまま閉創した.各種モニタリング所見に不一致があったことは医療チーム内で共有され,麻酔科医による抜管直前の評価で左麻痺が疑われた.そのまま抜管せず再度麻酔深度を深くし,ただちに再開頭しクリップを外すと,MEPは正常化した.次に,クリップの向きを変えて再クリッピングすると,各種モニタリング所見はすべて正常化し,患者は麻痺を呈することなく退院した.本症例では,ICGやドップラー所見に基づく主観的な判断がMEPによる客観的な評価よりも優先されたため,合併症リスクを高めた可能性がある.術後合併症の予防には,各種モニタリング所見を医療チーム全員で共有し,適切に対応することが重要である.