脳卒中の外科
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症  例
関連多職種の術中モニタリング所見の共有が合併症回避に有用であった脳動脈瘤クリッピング術の1例
松本 美夏堀越 裟代𠮷田 知枝和田 英明古橋 美帆髙瀬 肇相山 仁谷中 清之
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2024 年 52 巻 4 号 p. 296-300

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抄録

症例は58歳女性で,右未破裂中大脳動脈瘤に対して開頭クリッピング術が施行された.運動誘発電位(MEP),蛍光血管撮影(ICG),Doppler血流測定がモニタリングされた.初回クリッピング後,MEPは消失したが,ICGやDoppler所見は正常と思われたため,そのまま閉創した.各種モニタリング所見に不一致があったことは医療チーム内で共有され,麻酔科医による抜管直前の評価で左麻痺が疑われた.そのまま抜管せず再度麻酔深度を深くし,ただちに再開頭しクリップを外すと,MEPは正常化した.次に,クリップの向きを変えて再クリッピングすると,各種モニタリング所見はすべて正常化し,患者は麻痺を呈することなく退院した.本症例では,ICGやドップラー所見に基づく主観的な判断がMEPによる客観的な評価よりも優先されたため,合併症リスクを高めた可能性がある.術後合併症の予防には,各種モニタリング所見を医療チーム全員で共有し,適切に対応することが重要である.

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© 2024 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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