脳卒中の外科
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特集 脳卒中外科の手術手技―原 著
Off-the-job trainingによる手術技術獲得の促進 ─若手術者によるSTA-MCA bypassの現状─
山岡 歩三上 毅古明地 孝宏能代 将平大瀧 雅文對馬 州一小松 克也金 相年秋山 幸功三國 信啓
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2024 年 52 巻 6 号 p. 433-439

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抄録

若手術者が経験できるSTA-MCA bypassの症例数はかぎられており,手術技術の獲得にはoff-the-job training(OJT)が重要である.自身の練習方法と手術成績から,若手術者の手術技術の獲得方法を考察した.筆者がOJTとして実施した模擬血管による端側吻合練習に関する研究である.吻合のセットアップを重視し,練習の中で各段階の右手と左手の役割を決め,無駄のない手技の順序を考え続けた.実際の手術を想定し,血管径や術野の深さを変更した.4年間で807本の練習を行い,10例12本のSTA-MCA bypassを経験した.119本の練習後に模擬血管の吻合時間が20分未満に短縮し,その後のlearning curveはなだらかになった.練習条件の変更で一時的に吻合時間が延長したが,比較的速やかに短縮した.練習本数と手術における中大脳動脈の遮断時間の間には,累乗近似曲線で高い相関を認めた(r=0.90).経験症例5例目で,遮断時間20分未満を達成した.9例目ではトラブルがあったが,遮断時間は20分未満であった.徹底した反復練習で,吻合操作のスピードが向上しただけでなく,トラブルを仮想体験することで,冷静に対処する能力が養われた.練習による遮断時間の短縮が示唆されたが,練習継続の難しさは課題である.練習方法を一定に保ちながら,飽きや慣れが生じないよう工夫し,「習慣化」を図る必要がある.

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