2024 年 52 巻 6 号 p. 426-432
脳室内血腫に対する内視鏡下血腫除去術は,ドレナージ期間を短縮させ結果的に予後の改善を導くなど,その有効性が報告されている.硬性鏡および軟性鏡,さらにdry fieldとwet fieldそれぞれの特性を踏まえて,安全かつ効果的な手術を行うための手技の標準化を目指した取り組みを紹介する.
2016年から2022年までの6年間に治療を行った脳室鋳型血腫25例を対象とした.血腫局在によって手技を選択し,①側脳室内血腫が主体の場合は硬性鏡単独のdry fieldあるいは必要に応じてwet fieldで,②第3-第4脳室内血腫が主体の場合は軟性鏡単独,③全脳室型血腫の場合は,硬性鏡と軟性鏡を併用し,dry/wet fieldを適宜切り替えながら血腫除去を行った.
術中手技に伴う合併症はなく,平均血腫除去率は70.4%であった.術後合併症として,再出血1例(4%),別部位の脳出血1例(4%),頭蓋内感染1例(4%),内科的合併症3例(8%):肺炎2例,肝不全1例であった.
血腫局在の種類,段階に応じて,硬性鏡・軟性鏡,dry field・wet fieldの選択と手順を最適化する方法は,安全かつ効果的な本手技の標準化を目指すうえで有用である.