脳卒中の外科
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原  著
フローダイバーター留置術における最適なチエノピリジン系抗血小板療法 ─プラスグレルとクロピドグレルの後方視的検討─
佐藤 雅紀西牟田 洋介福添 大地斧淵 奈旺山岸 正之細山 浩史新納 忠明谷口 歩時村 洋宮下 史生花谷 亮典
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2024 年 52 巻 6 号 p. 453-458

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抄録

【目的】フローダイバーター(FD)による脳動脈瘤治療において,合併症の予防のため,周術期抗血小板療法が重要である.周術期のバイアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の2剤内服について,クロピドグレルとプラスグレルのどちらがより適するか,後方視的に比較検討した.

【方法】2020年4月から2023年8月までの3年4カ月の間にFD留置を行った連続43例(クロピドグレル群20例,プラスグレル群23例)を対象とした.抗血小板薬は,アスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の2剤内服を,術2週間前から行った.術前日,術1週間後にVerifyNowを用いてP2Y12 reaction unit(PRU)を測定した.至適値を60<PRU<200に設定し,各測定において,至適値外の場合はチエノピリジン系抗血小板薬の変更や用量調整,またはシロスタゾールの追加を行った.術後,至適値内になるまで,あるいは抗血小板薬に起因すると思われる症状がある場合に,測定と内服調整を繰り返した.

【結果】術前,術後,最終至適値内は,それぞれクロピドグレル群で12/20,9/20,18/20,プラスグレル群で22/23,21/23,22/23であった(p=0.007,0.002,0.590).VerifyNow測定回数はクロピドグレル群3.0〔interquartile range(IQR):2.00-3.75〕,プラスグレル群2.0(IQR:2.00-2.00)であった(p<0.001).チエノピリジン系抗血小板薬の用量調整や薬剤の変更が必要だった症例は,クロピドグレル群で16/20,プラスグレル群で2/23であった(p<0.001).

【結論】FD留置術の周術期に,より至適値内でPRUが安定していたのは,プラスグレルであり,プラスグレルのほうが適していると考えられた.

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