2025 年 53 巻 3 号 p. 182-188
carotid artery stenting(CAS)の周術期に,虚血性合併症はしばしば経験される.プラーク飛散や血栓症が原因であることが多く,脳血管攣縮であった報告は少ない.今回,CAS後に症候性の脳血管攣縮を呈した1例を経験したので,報告する.
症例は71歳,男性.軽度の右麻痺にて入院し,magnetic resonance imaging(MRI)で左脳梗塞を認めた.MR angiographyでは左頚部内頚動脈に狭窄があり,エコーでは低輝度プラークを示す不安定プラークであったため,再発予防目的にCASを施行した.術後2時間に右麻痺と失語を呈し,MRIで術側に新規の脳梗塞が生じていた.翌日の脳血流検査では左大脳半球全体の血流低下があり,脳血管撮影では術側の脳血管攣縮を認めた.保存的加療にて術後11日目に神経症状は消失し,術後1カ月の脳血管撮影で脳血管攣縮の改善を確認した.
CAS後の脳血管攣縮による虚血性合併症は,まれであるが,注意する必要がある.治療に降圧を行った症例で神経症状の後遺が報告されており,過灌流症候群を速やかに鑑別し,安易に降圧をしないことが肝要である.