2025 年 53 巻 4 号 p. 231-236
特発性血小板減少症(ITP)は,血小板膜蛋白に対する自己抗体が原因で血小板減少をきたす自己免疫疾患であり,頭蓋内出血(ICH)が,まれではあるがきわめて重篤な病態として合併する.症例は40歳女性で,ITPと心不全に,脳動静脈奇形(AVM)破裂によるICHで発症し,緊急で開頭血腫除去術,外減圧術を施行した.術前には血小板輸血を行い,周術期においては静脈性出血の制御や頭蓋内圧管理に注力した.頭蓋形成術前にAVMからの出血予防として塞栓術を追加実施し,さらに心不全管理を徹底することで出血および脳腫脹の制御に努めた.術後,血小板減少および多発脳出血を認めたが,ステロイドや免疫グロブリン静注療法により,一定の改善を得ることができ,リハビリテーション病院へ転院した.ITP,心不全,破裂AVMといった複雑かつ重篤な病態の治療には,多面的かつ迅速なアプローチが必要である.