脳卒中の外科
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症  例
脳動静脈奇形ガンマナイフ治療後に残存した動静脈瘻に対して 塞栓術を施行した1例
吉冨 晶太筒井 泰史今村 博敏森 久恵山田 直人込山 和毅百崎 央司小倉 健紀濱野 栄佳山田 清文飯原 弘二片岡 大治
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2025 年 53 巻 5 号 p. 312-318

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抄録

脳動静脈奇形に対する治療によるnidus閉塞後の再発に関して,ガンマナイフを含めた定位放射線治療後の再発の報告はきわめて少ない.また,nidusは閉塞するも動静脈瘻のみが残存した症例の報告はこれまでない.今回われわれは,前頭葉脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療後にnidusの閉塞を確認したものの,動静脈瘻のみが残存し,経時的に静脈瘤が増大したために血管内治療にて塞栓術を施行した症例を経験したため報告する.

症例は9歳,女児.頭痛精査のMRIで左前頭葉底部に最大径4cm,Spetzler-Martin Grade 3の未破裂脳動静脈奇形を指摘された.脳血管造影検査では両側前大脳動脈から複数のfeederを介してnidusが描出され,3系統のdrainerを認めた.ガンマナイフ治療を施行し2年後にnidusの描出消失を認めたが,nidusを介さない動静脈瘻が残存した.その後も動静脈瘻は消失せず,経時的に静脈瘤の増大を認めたため,コイルとOnyx併用で塞栓術を施行した.術後にシャント血流は消失し,新規症状の出現なく自宅退院した.

high flow shuntを伴う脳動静脈奇形では,潜在的に動静脈瘻が存在すると考えられている.本症例の病態としては,ガンマナイフ治療によりnidus部分のみが閉塞し,動静脈瘻が顕在化した可能性が高いと考える.本症例では静脈瘤の短期間での増大が確認され,出血リスクを考慮して早期の介入を行ったが,その経過や治療についてこれまでの報告はない.本症例のようなまれな病態に対しては,綿密な画像評価による詳細な病態把握と,個別の治療計画,さらにその後の慎重なフォローアップが重要であると考える.

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