脳卒中の外科
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症  例
未破裂中型内頚動脈瘤に対するflow diverter留置術後,亜急性に重篤なステント内血栓症をきたした1例
田伏 将尚峯 裕林 拓郎
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2025 年 53 巻 5 号 p. 319-326

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抄録

症例は52歳男性で,約5mmサイズの未破裂中型左内頚動脈瘤に対し,flow diverter(FD)留置術を企図した.術2週前よりアスピリンとクロピドグレルを投与したが,血小板凝集能検査でクロピドグレル不応症が疑われ,プラスグレルへ変更した.治療はコイル併用でPipeline Flex with Shield Technologyを留置し,密着も良好であった.術直後から抗凝固薬の持続投与も行った.頭部magnetic resonance imaging(MRI)およびangiography(MRA)の所見を含めて経過良好であったが,抗凝固薬中止約12時間後(術4日目)に突然の意識障害,失語,右上下肢不全麻痺をきたした.頭部MRIおよびMRAで広範囲左側脳梗塞と左内頚動脈閉塞を認めた.ステント内血栓症に対し血栓回収術を行い再開通したが,modified Rankin Scale 3でリハビリテーション病院へ転院となった.未破裂中型動脈瘤に対してFD単独留置とするかコイルを併用とするかは,母血管と動脈瘤の関係性ならびにblood flow dynamicsを考慮して決定すべきである.その際,内頚動脈小弯側動脈瘤に対するコイルの併用は血栓症を誘発する可能性があるため注意を要し,本症例ではFD単独留置をすべきであった.他方,コイル塞栓単独で初回治療を終え,再発時にFDを留置する選択肢も妥当とされた.

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