2026 年 54 巻 2 号 p. 82-86
中大脳動脈(MCA)動脈瘤破裂によるくも膜下出血(SAH)では,しばしばシルビウス血腫を形成する.術後の頭蓋内圧亢進を防ぐため,シルビウス血腫を除去することを推奨する報告が多いが,これは容易ではない.われわれは,シルビウス血腫の除去困難例などに対して,積極的に外減圧術を行ってきた.われわれのシリーズにおける外減圧術の有用性を報告する.
2017年10月から2024年9月までに,当院で治療を行ったMCA動脈瘤破裂によるSAHは52例で,シルビウス血腫を伴うものは25例であった.血腫の定義は,CT上mass effectを伴うものとした.全例で開頭クリッピング術が行われ,そのうち13例で外減圧術が追加された.
シルビウス血腫の2/3以上を除去できたグループの予後良好例(退院時mRS 0-2)は,50%であった.一方,血腫除去が1/3以下のグループの予後良好例は33.3%に留まったが,このうち外減圧術を追加した症例では,予後良好は42.9%にまで上昇した.また,重症例(WFNSグレード 4,5)においても,血腫除去が1/3以下のグループでは,外減圧術を追加した症例の予後良好は33.3%であった.
SAH時のシルビウス血腫は,通常の脳内出血と比較して,その除去は容易ではない.血腫除去を目標とするが,除去が困難な場合には,外減圧を追加することで,良好な予後を得られる可能性がある.