Second Language
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研究論文
日本人と中国人英語学習者による第二言語ナラティブにおける移動事象
屈 佳伸
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2024 年 23 巻 p. 101-128

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抄録

本研究は、日本語母語話者(動詞フレーム言語)と中国語母語話者(衛星フレーム寄り言語)が、第二言語である英語(衛星フレーム言語)において、どのように移動事象のナラティブを習得するかを調査した。日本語と中国語母語話者が作成した英語の移動事象ナラティブを、様態の顕著性、原因の顕著性、経路の区切り、経路の融合、場所の顕著性及び場面設定に着目し、英語母語話者との比較を行った。その結果、第二言語の移動事象ナラティブを習得する際に、第一言語の移動事象スキーマが移転されるとともに再構築されることが示された。さらに、様態の顕著性、原因の顕著性、経路の融合が他の意味構成要素よりも第二言語学習者にとって習得の難易度が高いことがわかった。これは、移動事象のスキーマにおける構成要素の位置づけの違いや、起点言語に存在しない目標言語の表現の習得難易度に起因していると考えられる。

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© 2024 日本第二言語習得学会
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