2024 年 23 巻 p. 37-53
生成文法に基づいた第二言語獲得研究 (GenSLA) は, 普遍文法 (UG) の研究に大きく依存している.言語固有の属性を最小限にする試みである極小主義 は, GenSLAに対して大きな影響を与えると思われる.本稿は, 極小主義とGenSLA, パラメータの問題, 刺激の貧困の問題を考察しながら, SLAにおける論理的問題と発達問題を考える.特に, パラメータに関して, wh句の第二言語獲得を素性の観点から扱ったMiyamoto et al.(2024) を紹介する.さらに, 入力とインテイクに関する最近の研究動向を紹介し, 構造依存性に違反した規則は第二言語獲得において利用されないことを示す.