Second Language
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第二言語理解における文理解方略類似性とその影響について
山下 裕子
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2008 年 7 巻 p. 43-82

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抄録

本研究は心理言語学における母国語と第二言語の文理解方策の類似性が第二言語の理解にどの様な影響を及ぼすかを実験により考察した.中国語, 韓国語, 英語を母国語とする者の第二言語としての日本語の文理解を比較した.各言語の話者は同じ様式で授業を同じ時間受けたにもかかわらず, 文理解は母国語と第二言語の文理解の方策が類似するほど正確であった.さらに, 文構造が複雑になり文理解の負荷が高くなると, 文理解の方策が最も似ていない言語ほど母国語にないキューを使わず, 理解の精度も低くなった.これらの結果は心理言語学的に文理解方策の類似性が低い言語の話者は類似性が高い言語の話者よりも文の分析により一層の負荷がかかるという事を示唆する.

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© 日本第二言語習得学会
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