Second Language
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日本語母語成人の英単語音読における綴りから発音への変換の特徴
山田 惠阿部 純一
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2008 年 7 巻 p. 25-41

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抄録
英語のような表音表記体系の言語では, 未知の単語を音読するためには, 綴りを発音へと変換することが必要になる.英単語の音節の綴りと発音は, 書記素と音素の規則性 (regularity) と, ボディとライムの規則性 (consistency) の2種類の規則性で対応しているので, 未知の単語であっても, その綴りを, これらの規則性に則って変換すれば, 正しい発音で音読することができる.本研究では, 外国語として英語を学習する日本語母語話者の, 英単語の綴りから発音への変換方法と, その特徴を明らかにしようとした.本研究では, 英語の習熟度が異なる48名の参加者を対象に, 音節構造が2タイプになるように用意された偽単語と単語を用いて, 日本語母語話者の英語音読反応を調べた.参加者の単語音読は習熟度に関わらず高い正答率を示したが, 偽単語に対しては総じて誤反応が多かった.偽単語の誤反応の精査から, 習熟度の低い参加者ほど, 英語音節の綴りから発音への標準的規則性には則らず, 母語 (日本語) の音節の特徴であるCVを単位とする変換方法を適用して音読していることが確認された.
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© 日本第二言語習得学会
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