英語のような表音表記体系の言語では, 未知の単語を音読するためには, 綴りを発音へと変換することが必要になる.英単語の音節の綴りと発音は, 書記素と音素の規則性 (regularity) と, ボディとライムの規則性 (consistency) の2種類の規則性で対応しているので, 未知の単語であっても, その綴りを, これらの規則性に則って変換すれば, 正しい発音で音読することができる.本研究では, 外国語として英語を学習する日本語母語話者の, 英単語の綴りから発音への変換方法と, その特徴を明らかにしようとした.本研究では, 英語の習熟度が異なる48名の参加者を対象に, 音節構造が2タイプになるように用意された偽単語と単語を用いて, 日本語母語話者の英語音読反応を調べた.参加者の単語音読は習熟度に関わらず高い正答率を示したが, 偽単語に対しては総じて誤反応が多かった.偽単語の誤反応の精査から, 習熟度の低い参加者ほど, 英語音節の綴りから発音への標準的規則性には則らず, 母語 (日本語) の音節の特徴であるCVを単位とする変換方法を適用して音読していることが確認された.
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