物理探査
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論文
メッシュレス法による岩石引張破壊時の微視亀裂挙動再現性に関する研究
武川 順一真田 佳典山田 泰広三ヶ田 均芦田 讓
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2007 年 60 巻 2 号 p. 171-182

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抄録
近年注目されているメッシュレス法の一種であるエレメントフリーガラーキン法(EFGM)を用い,岩石室内試験の数値シミュレーションを行った。EFGM は解析対象の要素分割を必要とせず,効率的で高精度の数値計算が可能である。本シミュレーションでは,統計的連続体モデルにより岩石供試体をモデル化する。すなわち,岩石供試体の局所的強度に何らかの分布に従うばらつきを与えて,岩石のもつ不均質性を表現する。これにより,微視的な破壊現象の開始からその局所化・合体・伝播・分岐,そして巨視的な破断面の形成と,一連の破壊現象を統一的に再現する。また,シミュレーション中に微視亀裂の発生に伴って発生する Acoustic Emission の位置や数を記録する。数値的に再現された岩石試験は一軸引張試験・Brazilian test で,それぞれの試験中における供試体内部の微視亀裂の状況を可視化したところ,実際の室内試験での微視亀裂の発生パターン,巨視的破壊形状ともによく一致した。また,ピーク強度が供試体寸法によって支配される寸法効果に関しても検討を行った。最後に,供試体に与えた統計的な性質がシミュレーション中に得られる微視亀裂の統計的性質に正確に反映されているかを確かめるため,AE 個数-載荷応力の関係を異なる Weibull 形状母数に対して調べた。その結果,シミュレーション結果から得られる統計的性質と,供試体に与えた微視的な統計的性質の間に明確な相関関係が認められ,シミュレーションの入力値である Weibull 形状母数の統計的性質は,巨視的な性質に正確に反映されていることが示された。
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© 2007 社団法人 物理探査学会
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