抄録
本稿では,南海トラフ巨大地震において津波の来襲が懸念されている和歌山県串本町の街地・平地を検討対象地域として選定し,高密度常時微動計測を実施した結果について報告する。具体的には,525地点に及ぶ常時微動計測を行い,H/Vスペクトルのピーク周波数などに着目することで,検討対象地域における地盤震動特性を明らかにした。さらに,常時微動H/Vスペクトルとサイト増幅特性の経験的関係に基づき,微動計測地点(525地点)でのサイト増幅特性をそれぞれ評価することで,砂洲地盤で主に構成される津波来襲地域内でのサイト特性の評価地点ごとに,予測される強震波形を今後将来的にそれぞれ推定していくことの重要性を示した。