物理探査
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ケーススタディ
山川地熱地域における弾性波探査をガイドとしたMT/重力/磁気データの3次元逆解析
三浦 卓也持永 尚子青木 直史Masashi EndoAlex GribenkoDavid Sunwall毛利 拓治
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2017 年 70 巻 p. 153-163

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抄録

独立行政法人石油天然ガス・金属資源機構(JOGMEC)が地熱発電技術研究開発事業として実施する地熱貯留層探査技術開発では,地熱開発での掘削成功率やフィールドの長期経済性の向上において求められる地熱貯留層構造の3次元的詳細把握の課題に対し,電磁探査,重力探査,磁気探査,及び弾性波探査の統合物理探査技術の開発を行ってきた。平成27年度には阿多カルデラ内部に位置する鹿児島県山川地熱地域において,第1回実証試験として3次元弾性波探査実証試験が実施され,平成28年度には既存のMTデータ,重力データ,磁気データを用いた3次元逆解析が実施された。物理探査データの3次元逆問題は,一般的にill-posedであることが知られている。一方で,複雑な地質構造を解釈するためには,信頼性の高い3次元モデルを得る必要がある。地下の地質構造を反映したモデルを初期モデルとして与えた3次元逆解析手法がこの問題を解決する手助けとなることが期待される。本研究では,山川地熱地域における弾性波探査データや坑井データ等の既知情報を統合した先験的モデルを初期モデルとし,MTデータ,重力データ,磁気データの3次元逆解析を実施した。本稿では,先験的モデルの構築において,弾性波探査データからの情報を加味することの利点を探るとともに,RMSミスフィットや坑井データと比較することで弾性波探査データからの寄与の度合いによる3次元逆解析結果の違いを検証する。

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© 2017 社団法人 物理探査学会
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