近年の海洋鉱物資源調査では,海底地形調査,物理探査,生物・化学調査等を目的とした潜航調査や掘削調査が数多く実施されているが,効果的な海洋資源探査・開発のために,これらの調査データを統合的に解析する手法の実用化が期待されている。海洋研究開発機構では,取得されたデータと地質情報とを簡便に比較,参照し,地球科学的な裏付けに基づいた統合解釈のためのツールの研究開発を進めている。この一環として,これまでに海洋研究開発機構が中部沖縄トラフを対象として実施してきた「しんかい6500」,「ハイパードルフィン」,「ディープ・トウ」による複数の潜航において取得された映像記録から,資源調査において最も基本となる海底地形・地質データを抽出・収集・統合してデータベース化する作業を行っている。また,とりまとめたデータは,既往データの情報検索,将来調査計画の立案,研究のテーマの発見等を容易にするためにGISに登録した。登録した海底地形・地質情報の活用事例の一つとして,海底地形・地質と熱水・湧水やチムニー等との位置関係や連続性,分布性状等を把握して,調査データの解析や解釈に有効に活用することができる海底地質情報図を作成した。作成したデータベースに,各機関で実施されている掘削データや物理探査データを統合することにより,資源調査の基本となる対象海域の詳細な3次元地質情報の推定が可能になると考える。