物理探査
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技術報告
海底熱水活動域で得られた岩石試料の電気伝導度特性に基づく岩石物理モデルの構築
大田 優介後藤 忠徳小池 克明柏谷 公希林 為人多田井 修笠谷 貴史金松 敏也町山 栄章
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2018 年 71 巻 p. 43-55

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抄録

近年,中部沖縄トラフをはじめとした海底熱水活動域において,海底熱水鉱床の調査を目的として,様々な物理探査が行われている。物理探査によって電気伝導度・密度などの物性値の地下分布が得られるが,これらの情報に基づいた地質学的な構造推定には限界がある。そのため,鉱床有望地の具体的な絞り込みや鉱床品位の高精度な評価においては,数多くの海底試掘が必要となっているが,掘削コストは高く,コア回収率は低い。したがって,比較的低コストで実施可能な物理探査によって得られる種々の物性情報から海底下地質情報を適切に抽出することが望まれ,新たな技術開発が必要である。そこで本研究では,海底熱水鉱床の胚胎が有望視されている沖縄トラフ内の複数の海域から岩石サンプルを採取し,室内試験によって様々な物性および鉱物組成や元素濃度を測定し,これらの関係性を調べた。さらに,岩石サンプルの電気伝導度については,間隙水などから岩石の電気伝導度を推定する岩石物理モデルの構築を試みた。本研究で構築した岩石物理モデルを岩石サンプルの測定データに適用した結果,これまでの岩石モデルでは説明が不可能であった高い電気伝導度を示す岩石サンプルについて,その電気伝導特性を再現することに成功した。さらに,推定された物理モデルパラメータと岩石サンプルの導電性硫化鉱物の体積含有率との間に明瞭な正の相関関係を見いだした。この結果は,海底熱水活動域岩石サンプルの電気伝導度は本研究で提案する岩石物理モデルによって説明できることを示している。

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© 2018 社団法人 物理探査学会
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