物理探査
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解説
三次元物理探査船「たんさ」を用いた浅海調査仕様の検討について
池 俊宏
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2022 年 75 巻 p. sp11-sp17

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抄録

 大型の物理探査船を用いた浅海の反射法地震探査は,限られた水深に調査機器を曳航する際に危惧される調査の中断リスクを最小化するために,調査仕様の検討が重要である。本説では,経済産業省資源エネルギー庁の事業である国内石油・天然ガス基礎調査に用いられている三次元物理探査船「たんさ」を例にして,その運航および調査機器の安全面を考慮して設定された水深50 m以深の海域を調査対象としていることについて,調査仕様や調査機器の展開,そして調査の水深が決められた背景と課題を解説する。「たんさ」のような大型の物理探査船を浅海での調査に用いる際の運航上の留意点として,1)ケーブルを海底に触れさせないため精緻な海底地形図の入手,海底に設置されている障害物や大型構造物そして漁具の有無を確認,航海士や調査員への事前説明,2)調査機器の展開中は止まることができない物理探査船が緊急に退避を求められる場合を加味したケーブル長の設定,3)求められる水平分解能を達成しつつ短時間で効率の良い調査を実施するため,震源数とケーブル展開幅の設定が鍵となる。「たんさ」の様な大型の物理探査船を用いた調査を計画・実行する際に,調査の安全と共に調査中断のリスクを認識することが重要である。

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© 2022 社団法人 物理探査学会
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