2022 年 75 巻 p. sp50-sp59
2019年4月より再エネ海域利用法が施行されたことにより,洋上風力発電施設に係る地盤調査市場は大幅に拡大している。洋上における地盤の支持層分布あるいは工学的基盤深度の把握に必要なS波速度の測定は,ボーリング孔を利用したサスペンションPS検層が一般的に行われてきた。しかしながら,洋上風力発電事業(着床式)は年間平均風速7 m/s以上,水深10~40 m程度の海域を対象としており,厳しい環境下でのボーリング作業は容易ではない。著者らはこのような厳しい環境下でもボーリング調査を必要とせず,短期間でS波速度構造を把握することができる海底微動アレイ探査システムを開発した。本稿では,当手法の開発について概説した後,適用事例及び海底微動の特徴について示した。これらの結果より,得られたS波速度構造はPS検層および音波探査と整合的な結果が得られたことから海底微動アレイ探査の有用性が示された。